退職月の給与から引く社会保険料は何か月分か 判定(月末退職・月途中退職・住民税・雇用保険)
退職日と給与の締め日・支払日を入れると、最後の給与から引く健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料が何か月分か(1か月分か、前月分とまとめて2か月分か、引かないか)を、資格喪失日(退職日の翌日)から条文どおりに判定します。月末退職(退職月分まで掛かる)と月途中退職(退職月分は掛からない)の違い、同月得喪(入社した月に退職)、40歳・65歳(介護保険)・70歳(厚生年金)・75歳(健康保険)の境目、住民税の一括徴収(1〜4月退職は義務・6〜12月は本人の申出)、雇用保険料、退職月の賞与、所得税の扱いまで。標準報酬月額を入れれば金額(協会けんぽ 令和8年度)も出します。
この判定は健康保険法・厚生年金保険法・地方税法・労働保険徴収法の条文と日本年金機構の取扱いで、協会けんぽの一般の被保険者を前提にしています。健康保険組合・共済組合・厚生年金基金、育児休業等の保険料免除中、産前産後休業中、二以上事業所勤務、70歳以上被用者、資格喪失後の任意継続、海外居住者、給与規程の特約、賞与の額の計算、退職金の税金(退職金の税金・手取り)は別に確認が要ります。最終判断は年金事務所・市区町村・社会保険労務士にご確認ください。
この道具の作り方と見張り
- 根拠:健康保険法、厚生年金保険法、介護保険法、高齢者医療確保法、地方税法、地方税法施行規則、労働保険徴収法、国民年金法、所得税法(e-Gov の条文 9 本)と、日本年金機構の資料 2 本を毎日自動で照合しています。条文や数値が変わると運営者に通知が届き、道具を直してから更新履歴に載せます。
- 計算:このページの中の JavaScript が、上の根拠の欄に書いた手順どおりに計算します。入力した数字はどこにも送られません。
- 確認:公開前に自動テストと実ブラウザの点検を通しています。公開 2026/09/14・最終更新 2026/09/14。
- 運営:株式会社信大。総務・経理・労務・現場の実務で使う計算を、法令や規格の一次資料から作って無料で公開しています。
- ホーム画面:スマホで繰り返し使うなら、ブラウザの共有ボタン→「ホーム画面に追加」で 1 タップで開けます(アプリの入れ物は要りません・入力は送信しません)。
仕組み・早見表・よくある質問(2026/09/14 確認)
社会保険料は「月単位」で、資格喪失日の属する月の前月分まで
- 資格喪失日=退職日の翌日(健保法36条・厚年法14条)。保険料は資格を取得した月から喪失した月の前月まで掛かる(厚年法19条1項・81条2項。健保法156条3項は「前月から引き続き被保険者である者が喪失した月分は算定しない」)。
- 月末退職(9/30)→喪失日は10/1→9月分まで掛かる。月途中退職(9/29以前)→喪失日は9月中→9月分は掛からない(8月分まで)。
- 会社が給与から引けるのは前月分(翌月控除)。退職のときは前月分とその月分をまとめて引ける(健保法167条1項・厚年法84条1項)。だから「末締め当月25日払い」で月末退職すると、最後の9/25の給与から8月分と9月分の2か月分を引く。
- 同月得喪(入社した月のうちに退職):健康保険はその月分を徴収。厚生年金もその月分を徴収するが、同じ月に別の厚生年金か国民年金(第2号を除く)の資格を取得したときは不要になり、年金事務所から会社へ還付→会社から本人へ返す(厚年法19条2項ただし書・81条2項・年金機構「従業員が退職・死亡したとき」留意事項(1))。20歳以上60歳未満で国内に住む人は退職日の翌日に国民年金の第1号被保険者になる(国年法7条1項1号)ので、月途中退職の同月得喪ならふつう厚生年金保険料は不要。月末退職は翌月喪失なので同月得喪ではない。
- 年齢の境目:介護保険料は40歳到達日(誕生日の前日)の属する月分から、65歳到達日の属する月分から給与では引かない(介護保険法9・10条・健保法156条2項)。厚生年金は70歳到達日に喪失(厚年法14条5号)=その月分から掛からない。健康保険は75歳の誕生日当日に後期高齢者医療の被保険者になり喪失(高確法52条「七十五歳に達したとき」の運用=年金機構の資格喪失日の表で「誕生日の当日」)=その月分から掛からない。
早見表(令和8年9月退職):最後の給与で引く月分
| 締め・支払 | 引き方 | 9/30 退職(月末) | 9/20 退職 | 9/10 退職 |
|---|
「支払日:引く月分」。「なし」=その給与からは社会保険料を引かない。当月控除の会社は退職前の給与で当月分まで引いてある前提。
住民税(特別徴収)
| 退職月 | 退職の翌月以降の月割額(翌年5月分まで) | 根拠 |
|---|---|---|
| 6月〜12月 | 本人の申出があれば最後の給与・退職手当から一括徴収(5月31日までに支払う給与・退職手当が残りの月割額の全額を超えるときに限る)。申出がなければ普通徴収に切り替え(本人が納付書で納める) | 地方税法321条の5第2項ただし書 |
| 1月〜4月 | 5月31日までに支払う給与・退職手当が残りの月割額の全額を超えるときは、本人の申出がなくても一括徴収しなければならない。超えないときは一括徴収の義務は生じない(普通徴収へ) | 同上 |
| 5月 | 5月分で年度の徴収が終わるので残りなし。通常どおり5月分を引く。6月からの新年度分は普通徴収(異動届出書で市区町村へ) | 321条の5第1項・2項 |
どの場合も「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を退職の翌月10日までに市区町村へ(法321条の5第3項・施行規則9条の24)。退職月分の月割額はその月に支払う給与から通常どおり引きます。一括徴収する額は市区町村からの通知書の月割額の合計(通知の額に合わせる)。
雇用保険料・所得税
- 雇用保険料は支払う賃金ごとに掛かる(賃金×本人負担率。一般の事業 5/1000・農林水産清酒 6/1000・建設 6/1000、令和8年度)。退職後に支払う最後の給与や賞与にも掛かる。64歳以上の免除は令和2年3月で終了。徴収法31・32条。
- 所得税:最後の給与は扶養控除等申告書が出ているので甲欄のまま。年末調整は原則しない(年の中途退職は対象外。ただし12月に支給期の来る給与を受けてから退職した人、パートタイマー等で本年の給与総額136万円以下かつ年内に他から給与を受ける見込みがない人などは対象=所得税法190条・タックスアンサー No.2665)。退職後1か月以内に源泉徴収票を交付(所得税法226条1項)。
よくある質問
- Q. 9/30 退職で「末締め当月25日払い」。9/25の給与から社会保険料が2か月分引かれるのは正しいですか?
- A. 正しいです。9/30退職は翌月1日喪失なので9月分まで掛かり、9/25の給与が最後なので8月分(前月分)と9月分をまとめて引きます(健保法167条1項)。9/29に退職日をずらすと9月分は掛からず1か月分になりますが、本人は9月分を国民健康保険・国民年金で払うことになります。
- Q. 9/20 退職なのに最後の給与から社会保険料が引かれています。
- A. 「末締め翌月25日払い」なら 9/25 の給与で8月分(前月分)を引くのは正しく、10/25 の最後の給与からは引きません。9月分を引いていれば取り過ぎです。
- Q. 入社した月に退職した人の保険料はどうなりますか?
- A. 健康保険はその月分を徴収します。厚生年金もいったん徴収しますが、同じ月に国民年金や次の会社の厚生年金の資格を取得すると不要になり、年金事務所から会社に還付されるので本人に返します(厚年法19条2項ただし書)。20歳以上60歳未満の人は退職日の翌日に国民年金の第1号被保険者になるので、月途中退職ならふつう不要になります。
- Q. 退職月に賞与を払います。保険料は?
- A. 月途中退職(資格喪失月)の賞与は保険料が掛かりませんが、喪失日の前日までに払った賞与は賞与支払届が必要です(健保の年度累計573万円に入れる)。月末退職なら喪失は翌月なので、退職月の賞与には保険料が掛かります。同月得喪(入社月に退職)は例外で、取得日から喪失日の前日までに払った賞与には保険料が掛かります(年金機構 留意事項(6))。雇用保険料と所得税はどちらも掛かります。
- Q. 住民税を一括徴収するかどうかは誰が決めますか?
- A. 6〜12月の退職は本人の申出があれば一括、なければ普通徴収です。1〜4月の退職は本人の希望に関係なく、5月末までに払う給与・退職手当が残りの月割額の全額を超えるときは一括徴収が義務です。超えないときは義務は生じず普通徴収になります。
- Q. 「当月控除」の会社です。月末退職の最後の給与は?
- A. 当月控除は「9月に払う給与から9月分を引く」運用なので、9/30退職で末締め翌月25日払いなら10/25の給与からは引きません(9月分は9/25で引き済み)。法律の原則は前月分の控除(翌月控除)なので、当月控除は翌月分の前払いに当たり、月途中退職の人からは取り過ぎになりやすい点に注意。
根拠と確認
- 健康保険法36条(喪失は翌日)・156条(保険料は月ごと。2項=介護第2号でなくなった月は一般のみ。3項=前月から引き続き被保険者である者が喪失した月分は算定しない)・167条(前月分の控除。退職時は前月分とその月分):e-Gov 法令APIで現行(令和8年8月1日施行版)を取得。
- 厚生年金保険法9条(70歳未満)・14条(喪失=翌日、70歳到達=当日)・19条(被保険者期間は取得月から喪失月の前月まで。同月得喪は1か月、ただし同月に更に厚年・国年取得なら算入しない)・81条2項(保険料は被保険者期間の各月)・84条(控除)。
- 介護保険法9条(第2号=40歳以上65歳未満の医療保険加入者)・10条(40歳に達したとき取得)・11条、高齢者医療確保法52条(75歳)。75歳到達の健保喪失日は「誕生日の当日」(年金機構「従業員が退職・死亡したとき」留意事項(2)の表)。
- 地方税法321条の5(1項=6月〜翌年5月の月割徴収、2項=退職時の一括徴収は「5月31日までに支払われるべき給与又は退職手当等で月割額の全額を超えるものがあるときに限り」、3項=異動の届出)・地方税法施行規則9条の24(届出書は事由が発生した日の属する月の翌月10日まで)。
- 労働保険徴収法31条(被保険者の負担)・32条(賃金からの控除)。雇用保険料率は厚生労働省「令和8年度 雇用保険料率のご案内」。64歳以上の免除規定(旧附則11条)は現行の附則に無いことを確認。
- 国民年金法7条(第1号被保険者=国内に住所を有する20歳以上60歳未満で2号・3号でない者)・8条、所得税法190条(年末調整)・194条(扶養控除等申告書)・226条1項(源泉徴収票は退職の日以後1か月以内)。
- 日本年金機構「月の途中で入社したときや、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか」・「従業員が退職・死亡したとき(資格喪失)の手続き」・「従業員に賞与を支給したときの手続き」留意事項(6)(7)。
- 協会けんぽ 令和8年度保険料額表(率と本人負担の端数=50銭以下切捨て・50銭超切上げ):賞与の手取りと同じマスタ(shoyo_master.js)を共用。月額の健康保険料は表のとおり「介護第2号に該当する場合 11.47%」の1本で折半額を出す(東京 134,000円=7,684.9→7,685円で照合。健保と介護を別々に丸めると1円ずれる等級がある)。
- 国税庁 タックスアンサー No.2665 年末調整の対象となる人。
法令確認日 2026/09/14。改正があれば更新履歴に記録します。